フライフィッシングとは
フライフィッシング(Fly Fishing)は、毛鉤を餌にして魚を釣る釣法です。一般的な釣りとは異なり、餌を投げかけるのではなく、釣り糸の先端に結んだ毛鉤を水面に落として魚を誘います。フライフィッシングは、技巧と忍耐を必要とする釣り方ですが、多くの釣り人にとって非常にやりがいのあるものです。
フライフィッシングの歴史
フライフィッシングの起源は、16世紀頃のイギリスとされています。当初は貴族の娯楽として楽しまれていましたが、現在では世界中で人気のある釣り方となっています。
19世紀後半にイギリスから日本に伝わったと考えられています。当初は外国人宣教師や外交官によって楽しまれていましたが、その後徐々に日本人にも広まっていきました。
高度成長期の1960年後半から70年にかけ、イギリスやアメリカからのフライキャスティングのデモンストレーターが来日したことや、1992年の映画『リバー・ランズ・スルー・イット』が公開されると、刺激を受けた若者が急増し、現在に至っています。
自然の中で魚と対峙するスリリングなスポーツであると同時に、自然を愛し、環境を守る心を育む貴重な経験でもあります。今後もフライフィッシングは、日本の人々に愛され続けるスポーツとして発展していくことでしょう。
フライフィッシングに必要な道具
フライフィッシングの道具はロッド(竿)、リール、フライライン、テーパーリーダー、さらにその先に付けて、ティペット、そして餌であるフライ(毛鉤)と道具立てはいたってシンプルであります。
フライロッド
湖や大川の場合は、8フィート半~9フィート(約2.6m~2.7m)のロッドを使用、ラインは#6番が良いです。
渓流の場合は、7フィート~8フィート(約2.1m〜2.4m)のロッドを使用、ラインは#3〜#4番用から選びます。
素材はバンブー(竹)、グラスファイバー、カーボンとあるが、現代は軽くて反発があり、投げやすいカーボン素材が主流であります。
フライリール
フライフィッシング用リールの構造はいたってシンプル。ロッドとの適合するラインが巻けるキャパシティのあるサイズから選ぶことが大事です。左右どちらでも巻くことが出来るタイプが一般的で、慣れればどちらでも良いです。
フライライン
釣り糸のうち主たる部分を「フライライン」と呼びます。フライロッドを振ったときの力を伝えて、狙ったポイントにフライを運ぶための重要な道具です。太くてカラフルな外観を持つことも多いです。サイズは、AFFTAの規格で定められ、ラインの先端から30フィート(約9m)までの重量で規定される(太さではなく重さで表示される)。#3番,#4番、#5番と、番手が増えるほど重くなり、全長は25m~30mとかなり長いです。
フライラインには、「フローティング」(浮くタイプ)と「シンキング」(沈むタイプ)の2タイプがある。ビギナーはまずフローティングラインから始めるのがおすすめします。
テーパーリーダー
フライラインの先に付ける主にナイロン製のテーパーのついた糸(太さが徐々に細くなる糸)。ビギナーの場合は、7.6フィート〜9フィート(約2.3m~2.7m)のテーパーリーダーをつなぎ、太さはフライのサイズや対象魚によって変えます。
ティペット
リーダーの先にさらに結ぶ釣り糸。長さは60〜70㎝ほどで、慣れるにしたがって長くする場合があります。
テーパーリーダーとティペットの太さについて
リーダーやティペットはX表示で、フライラインとは逆に、数字が増えるほど細くなります。つまり1Xよりは2Xが細い、3または#4ラインでは5X(釣り糸の0.8号くらい)、#6ラインでは3X(1.5号くらい)が標準です。
ティペットは2段階までは細いものをつないでも良いです。5Xに6X、7Xは大丈夫ですが、8Xをつなぐと結び目で切れたり抜けたりしやすいと思います。
フライ
毛鉤(けばり)。主に鳥の羽や動物の毛、化学繊維などで昆虫や小魚を模して作られています。
「フライタイイング」といって自作することがこの釣りの面白さ楽しさでもあります。
初めは市販のフライで、「ドライフライ」(浮く毛鉤)を10本くらい、「ニンフ」(水生昆虫の幼虫)、「マラブー」(フワフワとした羽根)などの沈む毛鉤を10本くらい用意するのがおすすめします。
まとめ
現在、日本には約10万人のフライフィッシャーがいると推定されています。フライフィッシングは、老若男女問わず楽しめるスポーツであり、近年では女性や子供のアングラーも増えています。
フライフィッシングは、自然の中で魚と対峙するスリリングなスポーツであると同時に、自然を愛し、環境を守る心を育む貴重な経験でもあります。今後もフライフィッシングは、日本の人々に愛され続けるスポーツとして発展していくことでしょう。